「FRP防水とはどのような工事なのか知りたい」「FRP防水の施工方法や、工事にかかる費用相場が知りたい」。ベランダやバルコニーの防水工事を検討した際、このように悩むこともあるでしょう。防水は、雨漏りから住宅を守るために必要な工事のひとつです。この記事では、FRP防水について以下の内容を解説していきます。FRP防水についてしっかりと理解しておけば、工事の失敗を防ぐことができるでしょう。ベランダやバルコニーなどの防水工事を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
FRP防水とは
FRP防水とは、
ベランダやバルコニーなどの床面にFRPシートを敷き、その上からポリエステル樹脂を塗布して防水層をつくる工事のことを指します。
そもそも、FRPとは補強材であるガラス繊維を混ぜたプラスチックのことで、「繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)」の略です。
紫外線や強風などから表面を守るため、硬化が済んだ防水層の上にはさらにトップコートという保護仕上材を塗ります。
FRP防水の耐用年数は、10年ほどです。
施工から10年が経過したら、トップコートを塗り直したり、FRPシートを補修したりしなければなりません。
施工から10年経たないうちに表面にひび割れや傷が生じたとしても、雨漏りの原因となるため早めに補修するようにしましょう。
また、FRPは防水性だけでなく、耐久性や耐熱性、強度も高いという特徴があります。
ただし、FRP防水の材料は燃えやすいため、施工期間中は火気厳禁です。(※施工後であれば問題ありません。)
FRP防水を行うメリットとデメリット
次に、FRP防水を行うメリットとデメリットについて、解説していきます。
メリットとデメリットを知っておくことで、FRP防水の特徴をさらに理解することができ工事の不安を解消できるでしょう。
メリット
FRP防水のメリットには、以下の3つがあります。
防水性が高い衝撃に強い
工期が短い
それぞれのメリットについて、詳しく説明しましょう。
防水性が高い
FRP防水はシートを敷いて上から樹脂でカバーするため、水を通しにくく、高い防水性を保てます。
このため、プールや水槽、船舶などの防水工事においてもよく使用されます。
もちろん、一般の住宅のベランダやバルコニーの防水にも、十分な力を発揮するでしょう。
衝撃に強い
FRPは繊維強化プラスチックを使用しているため、衝撃に強いです。
FRP防水を施した箇所は、歩行可能なのはもちろん、車両の走行にも耐えられます。
そのため、屋上にある駐車場にも施工可能です。
工期が短い
FRP防水は樹脂の硬化時間が短く、塗布後1~2時間で乾燥するため、工事は1~2日で終わります。
また、1平方メートルあたり3~5キログラムと軽量なので、扱いやすく施工しやすいです。
FRP以外には、ウレタン樹脂を塗布して硬化させ、ゴム状の防水層となるウレタン防水という工事もあります。
ウレタン防水は、コテによる手作業で施工したり乾燥に時間がかかったりするため、長ければ工期が10日ほどかかってしまいます。
ウレタン防水に比べると、FRP防水は工期が非常に短いです。
デメリット
FRP防水のデメリットには、以下の2つがあります。
費用がかかる
施工できない箇所がある
それぞれのデメリットについて、詳しく説明しましょう。
費用がかかる
FRP防水は高い防水性や耐久性を持ち、施工しやすいというメリットがある分、工事にかかる費用が高くなります。
ウレタン防水や、防水機能のあるシートを敷く「シート防水」に比べると、工事費用は2倍近くになる場合があります。
施工できない箇所がある
FRPは伸縮性が低いという性質を持っているため、歪みが生じやすい箇所への施工は避けなければなりません。
例えば、木造の広いベランダ、鉄の下地、雨漏りが長く続き傷んだ下地は、FRP防水を施工するとひび割れが起きる可能性があります。
FRP防水のメリットとデメリットを、わかりやすく一覧表にまとめました。
メリットとデメリット | 内容 |
---|
メリット | ・高い防水性と耐久性
・工期が1~2日と短い |
デメリット | ・費用が高い
・施工できない箇所がある |
FRP防水が向いているケース
FRP防水が向いているのは、以下のような方です。
耐久性と防水性の高さを重視している
工期をできるだけ短くしたい
費用が少し高くなっても問題がない
費用がかかっても、耐久性と防水性を重視して工事を行いたいという方は、FRP防水を選びましょう。
また、施工する箇所を何日も封鎖されては困るという方にも、工期が1日で済むFRP防水はおすすめです。
FRP防水の工事にかかる費用相場
FRP防水の工事にかかる費用相場は、1平方メートルあたり5,000~8,000円前後が目安です。
ウレタン防水の工事にかかる費用相場は、1平方メートルあたり3,000~7,500円前後が目安なので、比較すると少し高い傾向があります。
一般的な住宅のベランダ(およそ4平方メートル)の工事の場合、人件費や塗装費を含めると10~12万円ほどが費用の目安となります。
実際の工事にかかる費用は業者によって異なるため、見積もりの際には内訳をよく確認しておきましょう。
FRP防水の施工方法
FRP防水の施工方法は、基本的に以下のような流れになります。
1. 施工箇所の洗浄
2. 下地の調整
3. FRPシートを敷く
4. ポリエステル樹脂を塗布して硬化させる
5. トップコートを塗る
下地の調整では、雨水が排水溝に流れやすくなるよう、床面に勾配をつくることもあります。
防水層の形成は「FRPシートを敷く工程」と「ポリエステル樹脂を塗布して硬化させる工程」を2~3回繰り返して行われます。
ポリエステル樹脂の硬化スピードが速いため、数回塗布する必要があっても、工期が短くて済むのが嬉しいポイントです。
そして、FRPシートとポリエステル樹脂で防水層を形成して、最後にトップコートを塗って表面を強化したら完成です。
FRP防水の工事で失敗しないためには
FRP防水の工事で失敗しないためには、以下の2つのポイントを押えておきましょう。
相見積もりする
資格を持つ業者に依頼する
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきましょう。
相見積もりする
工事の相見積もりをすることで、適切な費用相場が分かります。
相見積もりとは、工事の見積もりを複数の施工業者に依頼することです。
工事価格を比較することで、価格の高い/安いが初めて分かります。
価格が高すぎる業者には依頼しにくいですが、同様に価格があまりにも安過ぎる業者には注意が必要です。
工事費用が極端に安いということは、手抜き工事を行う業者の可能性もあります。
見積もり価格が費用相場よりもかなり低い場合には、悪徳業者の可能性があるということを覚えておきましょう。
資格を持つ業者に依頼する
防水に関する資格を持つ業者に依頼することで、安心して工事を任せられます。
資格を保有している職人が在籍する会社は技術力の向上にも力を入れているため、優良業者と言えるでしょう。
優良業者に依頼すれば、工事の失敗を防げます。
FRP防水を行う場合は、防水施工技能士という資格を持つ業者に依頼すると安心です。
防水施工技能士とは、防水に関する知識と高い技術力を保有していると認められた資格です。
国家資格のひとつで、1級が上級者、2級は中級者が取るのに適した資格と考えられています。
>>塗装業者が保有していると安心な資格一覧は、こちら
FRP防水は高い防水性と耐久性で住宅を雨漏りから守る救世主!
FRP防水は、ウレタン防水よりも防水性と耐久性が高いため、施工すると雨漏りによる不安を解消できるでしょう。
費用はほかの防水工事より高くなりますが、その分、メリットも大きいです。
また、防水工事の工期が長いと困るという方にも、硬化時間が短いFRP防水はおすすめです。
雨漏りは住宅の劣化スピードを速めるため、FRP防水でしっかりと対処するようにしましょう。
>>外壁塗装や雨漏り工事に火災保険が使える場合もある?
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