無機塗料はほかの塗料に比べて、耐候性と耐用年数が高い優れた塗料です。しかし、無機塗料について間違った理解をしている方も少なくありません。この記事では、無機塗料の正確な定義や機能、メリット・デメリットについて詳しく解説します。また、無機塗料とほかの一般的な塗料の費用や耐用年数の比較も行っています。ご自宅に適切な塗料はどれか、ぜひ記事を参考にして選んでみてください。最後に、無機塗料の施工で失敗しないための注意点についても丁寧にお伝えしています。
無機塗料とはどんな塗料のこと?
無機塗料は、無機物が配合された塗料のことで、耐候性と耐用年数に優れています。
そもそも、塗料は有機塗料と無機塗料の主に2種類です。
以下にて、それぞれの違いについて解説しながら、無機塗料の特徴をより詳しく解説していきましょう。
有機塗料と無機塗料の違いとは
有機塗料とは一般的な塗料のことで、アクリル塗料やシリコン塗料などがその例です。
有機塗料には樹脂成分(アクリル、シリコン、フッ素など)が入っており、樹脂によって塗料の性能やグレードが決まります。
また、樹脂が紫外線によって分解されることで、退色や変色などの劣化症状が現れてくることが多いです。
一方で、無機塗料には樹脂成分があまり含まれておらず、ガラスや石などの無機物が主成分になります。
劣化の原因となる樹脂成分がほとんど含まれていないため、一般的な有機塗料と比べて高性能な塗料です。
無機有機ハイブリッド塗料と呼ばれることも
無機塗料は、無機物だけでは塗料としての粘着性を持たせることが難しく、多少の有機物を配合しているため、「無機有機ハイブリッド塗料」「無機ハイブリッド塗料」と呼ばれることもあります。
ここで注意が必要なのは、無機塗料において無機物と有機物の割合に明確な決まりがないということです。
有機物は樹脂成分を含んでいるために塗膜が経年により劣化していきます。
いくら無機物が含まれていようが、有機物の割合が多くなってしまうと劣化がしやすいです。
中には質の悪い無機塗料も存在するので、注意しましょう。
記事の後半で、おすすめの無機塗料や大手メーカーも紹介するので、塗料選びの際はぜひ参考にしてみてください。
無機塗料を使った外壁塗装について
\地元の業者に相談したい!/
無機塗料のメリット・デメリットは?
無機塗料のメリットとデメリットについてご紹介します。
塗料選びの際は、メリットだけでなくデメリットについてもよく把握しておきましょう。
メリット
耐候性が高い
紫外線によって劣化する樹脂成分がほとんど含まれないので、耐候性に優れています。
それに伴い耐用年数も比較的長く、塗装条件や商品によってさまざまですが、耐用年数は20~25年ほどになります。
カビ・苔が発生しにくい
無機塗料には、カビや苔が栄養にして繁殖する
有機物があまり含まれていないため、カビや苔が発生しにくくなるでしょう。
通気性や日当たりが悪く、外壁のカビや苔に悩んでいるという方は、ぜひ無機塗料での塗装を検討してみてください。
汚れにくくセルフクリーニング機能がある
無機塗料は、静電気が発生しにくいためホコリなどの汚れがつきにくいです。
また親水性に優れており、外壁に汚れが付着しても雨水で洗い流されます。
親水性とは、水を弾くのではなく水を馴染ませる性能のことです。
雨が降れば、外壁と汚れの間に雨水が入り込み、汚れと一緒に流れ落ちてくれます。
不燃性がある
無機塗料は鉱物やガラスなどの
無機物を主成分としているので、
燃えにくいです。
しかし、有機物も含んでいるので、まったく燃えないという訳ではありません。
デメリット
無機塗料にはデメリットも複数あるため、以下で詳しくご紹介します。
無機塗料での塗装をお考えの方は、デメリットも確認して対処できると判断してから選ぶようにしましょう。
価格が高い
ほかの塗料タイプと比べて価格が高い点は、無機塗料の大きなデメリットです。
しかし、耐用年数が長いので、コストパフォーマンスはよいといえます。
外壁の塗装工事の回数を減らしたい方にはおすすめの塗料です。
ヒビ割れがしやすい
無機塗料でできた塗膜(塗装の膜)は、ヒビ割れを起こしやすいです。
無機物が主成分のため、塗装後は非常に硬い塗膜となってしまいます。
そのため、外壁にヒビが入ってしまうと一緒に塗膜もヒビ割れてしまう可能性が高いです。
ヒビが入りやすい外壁への施工にはあまりおすすめできません。
扱いが難しく職人の技術に左右される
無機塗料は塗膜が硬く固まるため、扱いが難しいので業者選びに注意が必要です。
技術力がある職人がきちんとした手順で塗装を行わなければ、期待通りの効果は見込めません。
20年以上の耐久性をもつはずの塗料が、5年以内に剥がれてしまう可能性もあります。
期待通りの効果を得るためにも、外壁塗装の業者選びも慎重に行いましょう。
再塗装が難しい場合がある
無機塗料の塗膜は、汚れが付着しにくいです。
無機塗料の上から塗装しようとすると、新しい塗料が密着しにくく剥がれやすくなってしまうことがあります。
無機塗料の塗装面の上から再塗装すると、想定したよりも早く剥がれてしまう場合もある、ということを覚えておきましょう。
ツヤ消しができない商品が多い
無機塗料は、ツヤ消しができないことがよくあります。
できたとしても、調整して3〜5分艶までの商品が多いです。
調整しすぎると塗りムラができて塗料の機能性が失われてしまう恐れがあります。
無機塗料を使った外壁塗装について
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無機塗料の費用相場と耐用年数を比較
無機塗料の費用相場と、耐用年数を紹介します。
また、ほかの一般的な塗料も記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
塗料 | 単価(/㎡) | 耐用年数 |
---|
無機塗料 | 4,500〜5,500円 | 20〜25年 |
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アクリル | 1,000~1,800円 | 3~8年 |
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ウレタン | 1,500~2,500円 | 5〜10年 |
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シリコン | 1,800~3,500円 | 8〜15年 |
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フッ素 | 3,000~5,000円 | 12〜20年 |
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無機塗料は、一般的によく使用されるシリコン塗料と比べて2倍近い単価です。
しかし、耐用年数も20〜25年とほかの塗料タイプよりも長くなっています。
総合的なコストパフォーマンスで見ると、お得な塗料といえるでしょう。
無機塗料は30年以上もつって本当?
まれに、訪問販売の営業マンや塗装業者が「無機塗料は30年以上もちます」といってくることがあります。
しかし無機塗料に限らず、今現在販売されている塗料の中に30年以上もつと保証されているものはありません。
30年以上もつといって高い塗料を勧めてくるのは悪徳業者である可能性が高いです。
もしそのような業者がいれば、注意しておきましょう。
おすすめの無機塗料メーカーや商品を紹介
無機塗料は、品質によっててさまざまなタイプがあります。
安心できる塗料を選ぶなら、やはり大手メーカーの商品がおすすめです。
大手メーカーの商品であれば、使用したレビューや口コミなどの情報が簡単に手に入るでしょう。
また、メーカー自身も塗料に関するさまざまな情報を開示しています。
以下が、おすすめの無機塗料を販売するメーカーと商品名です。
メーカー名 | 商品名 |
---|
日本ペイント株式会社 | パーフェクトセラミックトップG |
---|
関西ペイント | アレスダイナミックMUKI |
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エスケー化研 | エスケープレミアム無機 |
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上記の3社が、塗料メーカーの大手です。
ほかにも、無機塗料にはさまざまな商品があるので、業者と一緒にどのタイプがご自宅に合うか検討してみましょう。
また、大手メーカーではありませんが、以下の商品もおすすめです。
メーカー名 | 商品名 |
---|
ダイフレックス | ダイヤスーパーセランフレックス |
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東日本塗料 | フローン無機防水 |
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KFケミカル | KFワールドセラシリーズ |
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塗料選びに迷ったら、業者とよく相談してご自宅に合う商品を選ぶようにしましょう。
無機塗料を使った外壁塗装について
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無機塗料での塗装に向いている方の特徴
無機塗料での塗装に向いている方の特徴は、主に以下の3つです。
● 外観の美観を長く維持したい
● 外壁にカビや苔が生えやすい
● 塗装費用が高くても気にしない
どのような方が無機塗料での塗装に向いているか知っていることで、塗料が選びやすくなるでしょう。
外壁の美観を長く維持したい
無機塗料で塗装すると、セルフクリーニング機能もあり外壁の美観を比較的長く維持できます。
外壁掃除の頻度を減らしたい、きれいな外観を維持したいという方は、無機塗料での塗装を検討してみましょう。
カビや苔が生えやすい地域に住宅がある
無機塗料はカビや苔が生えにくいという特徴があるため、住宅周辺の湿気が高かったり、水辺の近くだったりする場合におすすめの塗料です。
外壁がカビや苔により見た目が悪くなるとお悩みの方は、無機塗料で塗装して汚れの発生を防いでみましょう。
ただし、完全にカビや苔が生えなくなるというわけではないため、定期的に点検をして汚れがないかチェックしてください。
早めに汚れを見つけておくことで、簡単に取り除けるでしょう。
塗装費用がほかの塗料に比べて高くても気にしない
無機塗料の塗装費用はほかの塗料に比べて高めになりますが、予算に余裕がある方にはおすすめです。
初期費用はかかりますが、塗装後の掃除やメンテナンスにかかる出費を抑えられる場合もあります。
将来的な手間と出費を抑えたい、金額よりも塗料の性能を重視したいという方におすすめの塗料です。
無機塗料で塗装する際の注意点
無機塗料は塗装面が硬くなるため、木材やサイディングボードといった動きやすく割れやすい外壁材への塗装は不向きです。
サイディングボードは外壁材の隙間にシーリング(コーキング)と呼ばれる充填材を施工して、建物の揺れの衝撃を受け止めます。
しかし、シーリングが動くことで、無機塗料でつくった塗膜も衝撃を受けてひび割れしやすいです。
外壁だけでなく、木材の破風板や軒天も無機塗料での塗装はおすすめできません。
まとめ:無機塗料を使った外壁塗装で失敗しないために
無機塗料はほかの塗料と比べて高価ですが、耐候性や防汚性などの性能があり、耐用年数も長いです。
もちろん、ヒビ割れや再塗装が難しいなどのデメリットもあります。
そのため、メリット・デメリットの両方を把握した上で、無機塗料を採用するかどうか決めましょう。
長期的なコストパフォーマンスを重視する方や塗装工事の回数を減らしたい方に、特におすすめします。
また、無機塗料での外壁塗装を成功させるためには、職人の技術力も必要不可欠です。
まずは、信用できる業者を探して相談するところから始めましょう。
最後に、今回の内容を簡単にまとめてみましたので、ご確認ください。
無機塗料のメリット・デメリットを教えてください。 |
無機塗料のメリットは「防汚性がある」ことなどで、デメリットは「取り扱いが難しい」ことなどです。詳しくは、こちら。 |
無機塗料でおすすめの商品はありますか? |
日本ペイントの「パーフェクトセラミックトップG」や関西ペイントの「アレスダイナミックMUKI」などです。詳しくは、こちら。
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