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折半屋根とは金属製の屋根材で、一般的な住宅にはあまり使われませんが、工場や倉庫、駐車場などの屋根によく使われています。比較的工費が安いため、駐車場のリフォームに折半屋根の使用を考えている方もいるのではないでしょうか。本記事では折半屋根のメリットやデメリット、リフォームの事例などを詳しく解説します。
折半屋根とは金属の板を折り曲げた屋根材のことです。
工場や倉庫、駐車場の屋根などによく使われています。
一般的に屋根が傾いている方向(縦方向)にはつなぎ目がありません。
そのため屋根の雨水がスムーズに流れ、屋根勾配の緩やかな建物の屋根材に適しています。
一方で、つなぎ目がない分1枚の屋根材が長くなり、10m以上の長さがある場合もあります。
折半屋根には次のメリットがあります。
折半屋根のリフォームは比較的工期が短く、工費も安くできます。
折半屋根は下地を使わずに直接梁へ施工可能です。
また、屋根1枚が大きい分効率よく施工が進みます。
曲げ加工も可能で、施工の自由度が高いため職人の手間が少なく人件費を削減できます。
折半屋根は耐久性が優れています。
縦方向につなぎ目がないため雨漏りのリスクが小さく、接合部分の劣化の心配もありません。
折半屋根の寿命は一般的に20~30年です。
ただし、塗装の剥がれやボルトのサビなどは数年で発生することがあるため、定期的なメンテナンスが必要です。
折半屋根は軽量のため、建物の耐震性を高められます。
屋根の重量は地震による建物の揺れ方に影響します。
屋根が重いほうが揺れが大きくなるため、耐震性を高めるには屋根の軽量化が有効です。
折半屋根は金属製で、瓦よりも軽量です。
そのため、瓦の屋根を折半屋根にリフォームすれば、耐震性の向上が期待できます。
折半屋根には次のデメリットもあります。
折半屋根は断熱性が低いため、夏の暑さと冬の寒さに悩む人もいるでしょう。
断熱性が低いと屋内と屋外の熱の移動が起こりやすくなります。
そのため、夏は冷房をつけていても外の熱気により屋内が暑くなりやすく、冬は暖房の温かい空気が屋外へと逃げやすくなります。
断熱材を入れることで対策は可能ですが、施工費が高くなる点に注意しましょう。
折半屋根は遮音性が低い傾向があります。
下地を施工せず梁に直接施工することが多いため、雨音や風音が屋内に響きやすいのです。
しかし、遮音性は防振材や遮音テープによりある程度向上できます。
なるべく屋内の環境を静かにしたい場合は業者に相談しましょう。
折半屋根は金属製のためサビに弱い性質があります。
また、屋根を固定しているボルトやナットもサビやすいため注意が必要です。
とくに屋根の上にたまった落ち葉はサビのリスクを高めます。
サビが進行すると屋根に穴が空き、雨漏りの原因となります。
サビは定期的な塗装で予防が可能です。
落ち葉の除去もこまめに必要ですが、高いところの清掃は危険なため、専門業者に依頼しましょう。
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折半屋根には主に次の5つの種類があります。
はぜ締めタイプとは、梁の上のタイトフレームに取り付けた金具を2枚の屋根材ではさんで施工する方法の種類です。
屋根材の固定にボルトがいらないため比較的低コストで施工できます。
重ねタイプに比べると風に弱い傾向があります。
重ねタイプとはタイトフレ-ムにボルトを取り付け、2枚の屋根材を重ねてナットで固定する施工方法の種類です。
風に強いため強風地帯に向いています。
ボルトとナットのサビに注意する必要があります。
嵌合(かんごう)タイプとは金具で屋根材2枚をタイトフレームに固定し、2枚のつなぎ目をキャップで覆う施工方法の種類です。
屋根の表面にはつなぎ目やボルトがないため、すっきりして美しい外観にできます。
他の種類と比べるとコストが高い傾向があります。
二重葺きタイプとは屋根材を二重にし、その間に断熱材をはさんだ施工方法の種類です。
屋根材が二重になっているため比較的遮音性を高くできます。
また、断熱材をはさんでいるため他の種類よりも外気による屋内の温度変化を抑制しやすい傾向があります。
わん曲加工とは軒先を曲げる施工方法の種類です。
軒先にカーブがあることで雨風の建物への影響を小さくできます。
また、屋根の上の雪やつららの自然落下を促進します。
折半屋根には次の劣化症状がよく見られます。
折半屋根は屋根材自体が金属のため、サビのリスクがあります。
また、重ねタイプのように屋根材の固定にボルトを使用している場合は、ボルトからサビ始めることもあります。
屋根のサビは気づきにくいため、定期的に専門業者に点検してもらいましょう。
屋根の固定にビスを使用している場合、時間が経つにつれてビスのゆるみが発生します。
ビスがゆるむと強風に耐えられなくなり、屋根が曲がったり吹き飛ばされたりする恐れがあります。
風が吹いたときに屋根から大きな音がするようになった場合はビスがゆるみ始めている恐れがあるため、業者に点検してもらいましょう。
屋根の塗膜が劣化するとチョーキングが発生することがあります。
チョーキングとは紫外線により塗料が劣化し、顔料が白い粉となって表面に出てきてしまう現象です。
チョーキングが起きているときは屋根を保護する塗膜が劣化しているため、塗装によるメンテナンスが必要です。
サビにより屋根に穴が空いたり、内樋が劣化して穴が空いたりすることがあります。
内樋とは雨水を排出する役割のある屋根の内側の溝のことです。
穴を防ぐには新しい内樋を内側に重ねる方法があります。
折半屋根はサビや水たまりによる雨漏りに注意が必要です。
多くの折板屋根は勾配が小さく設計されています。
勾配が小さいと落ち葉や木の枝などの異物が屋根の上にたまりやすく、雨水や雪解け水が流れる妨げとなることがあります。
スムーズに流れなかった水は水たまりとなり、雨漏りを発生させてしまうのです。
屋根の上に異物がたまっていたら放置せず、業者に掃除してもらいましょう。
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折半屋根のメンテナンスには主に3つの方法があります。
サビやチョーキング、塗装の剥がれが見られるときは、塗装でメンテナンスします。
屋根のメンテナンスの中でもっとも一般的な方法で、劣化症状の予防のためにも施工されます。
単に塗料を再度重ねるだけではなく、塗料の種類によっては防水性や防汚性の向上も可能です。
折半屋根は断熱性が低いため、遮熱性や断熱性の高い塗料を選ぶとよいでしょう。
折半屋根の塗装リフォームの費用相場は1㎡あたり1,800〜5,000円です。
塗料の性能が高いほど施工費用が高額になる傾向があります。
屋根に穴が空いている場合や雨漏りしている場合はカバー工法(重ね葺き)が採用されます。
カバー工法とは既存の屋根材を残したまま、上から新しい屋根材を重ねる施工方法です。
屋根が二重になるため、遮音性や断熱性の向上も期待できます。
また、古い屋根材と新しい屋根材の間に断熱材を入れることも可能です。
折半屋根のカバー工法によるリフォームの費用相場は1㎡あたり4,300〜12,680円です。
使用する新しい屋根材の種類によって金額が大きく変化します。
>> 屋根カバー工法(重ね葺き)の費用は?注意点やどんな家に最適かも紹介!
>> 屋根カバー工法がおすすめのケースは?失敗・後悔する原因を解説
カバー工法では修復できないほど劣化がひどい場合は、葺き替えでのリフォームとなることがあります。
葺き替えとは既存の屋根材を撤去してから新しい屋根材を設置する施工方法です。
折半屋根は塗装かカバー工法でのメンテナンスが一般的で、葺き替えはまれです。
ただし、カバー工法で屋根が重くなると耐震性が低下するため、建物の耐震性を保つために葺き替えが採用されることもあります。
折半屋根の葺き替えによるリフォームの費用相場は1㎡あたり11,700~58,000円です。
古い屋根材の撤去や廃棄が必要な分、他のメンテナンス方法よりも高額です。
塗装・カバー工法・葺き替えで折半屋根をリフォームした事例をご紹介します。
築年数 | 15年 |
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施工日数 | 5日間 |
施工面積 | - |
リフォーム費用概算 | 約35万円 |
新築から15年が経ち、塗膜の剝がれやサビが目立ち始めたため塗装を実施した事例です。
サビのリスクを抑えるため、重ね塗りを行い強度を保たせる方法をご提案しました。
さらに、夏の暑さにお悩みだったため、遮熱塗料を使って施工。
使用塗料は、アクリルシリコン樹脂系ルーフ用塗料「スーパーシリコンルーフペイント」です。
築年数 | 20年 |
---|---|
施工日数 | 7日間 |
施工面積 | 350.0㎡ |
リフォーム費用概算 | 約150万円 |
経年劣化や雨漏りがあったため、カバー工法で補修しました。
新しい屋根材にはガルバリウム鋼板を使っています。
築年数 | - |
---|---|
施工日数 | 5日間 |
施工面積 | - |
リフォーム費用概算 | 100〜150万円 |
「古い小屋や木を解体して駐車場にしたい」とのご依頼をいただき、折半屋根の駐車場を新設した事例です。
屋根材はLIXILの「テリオスポート」を使用しました。
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折半屋根は丈夫で寿命の長い屋根です。
ただし、経年劣化によりサビやチョーキング、雨漏りが発生することがあるため、定期的なメンテナンスが必要です。
一般的には塗装やカバー工法が採用されますが、葺き替えが適していることもあります。
どのメンテナンスが適しているかわからない場合は、複数の業者に相談してさまざまな意見を聞きましょう。
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