「屋根の葺き替え工事と外壁の張り替えは同時に行ったほうがよい?」このように疑問に思われたことはありませんか。屋根と外壁はどちらも同じように劣化してくるので、一緒に工事をしたほうがよいのか、どちらを優先すればよいのか迷う方が多いようです。片方ずつ工事をするのは大変なので、できるだけ同時に済ませたいと考えることもあるでしょう。今回の記事では、屋根の葺き替えと外壁の張り替えの同時施工について、詳しく紹介します。
屋根の葺き替え工事と外壁の張り替え工事の時期は、素材の耐用年数によって異なる
屋根の葺き替えと外壁の張り替えは、耐用年数を超えた時に行う工事ですが、耐用年数はそれぞれの素材によって異なります。
屋根も外壁も、一部素材により例外はありますが、新築後は塗料の寿命である10年周期で塗装メンテナンスを行うのが一般的です。
しかしどの素材であってもいつかは寿命がやってきて、塗装メンテナンスでは延命できずに葺き替えや張り替えを検討しなければなりません。
その時期が近ければ、屋根と外壁の同時施工が基本的には可能です。
まずは自宅の屋根と外壁の素材を確認し、耐用年数をチェックしましょう。
屋根の耐用年数
屋根の耐用年数を、屋根の素材ごとに一覧で紹介します。
自宅の屋根材の耐用年数がどれくらいかを確認してみてください。
屋根材の種類 | 耐用年数(寿命) |
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スレート(カラーベスト・コロニアル) | 10~25年以上 |
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日本瓦(和瓦) | 50年以上 |
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セメント瓦 | 30年程度 |
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ガルバリウム鋼板 | 30年程度 |
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トタン | 10〜20年 |
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外壁の耐用年数
続けて外壁材ごとの耐用年数を一覧で紹介します。
外壁材の種類 | 耐用年数 |
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窯業系サイディング | 30~40年 |
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金属系サイディング | 30~40年 |
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樹脂系サイディング | 38年程度 |
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木質系サイディング | 36年程度 |
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ALCパネル | 60年以上 |
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モルタル | 30年以上 |
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タイル | 30〜50年 |
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トタン | 12〜23年 |
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耐用年数が近ければ同時に工事を行える
表から見てもわかるように、屋根材のセメント瓦・ガルバリウム鋼板は、外壁材の窯業系サイディングや金属系サイディングと耐用年数が近いです。
ただし屋根も外壁も、それまでのメンテナンス状況や気候条件によって劣化状況は大きく異なります。
耐用年数前でも葺き替えや張り替えが必要になることもあれば、塗装のみで済むケースも考えられるでしょう。
寿命かどうかの最終判断は、プロに依頼するのがおすすめです。
最終的にどちらもほぼ寿命とされたときに同時に工事を行うかについては、メリットやデメリットを比較して決めるとよいでしょう。
屋根の葺き替えと外壁の張り替えを同時に行えるか
\地元の業者に相談したい!/
屋根の葺き替え工事と外壁の張り替え工事を同時に行うメリット
屋根の葺き替えと外壁の張り替えを同時に行う場合、考えられるメリットは、以下の3つです。
● 足場代を節約できる
● 業者とのやり取りを少なくできる
● 外観や機能が一気に新築のようによみがえる
それぞれ詳しく解説していきます。
足場代を節約できる
屋根の葺き替えと外壁の張り替えを同時に行うと、足場代を節約できることがメリットです。
どちらの工事も高所での作業となるので、作業員の安全を確保するために足場を組む必要があります。
足場代は、30坪の一軒家で15万円程度かかるのが一般的です。
屋根の葺き替えと外壁の張り替えを別々に工事すると、2回足場を組まなければなりません。
しかし工事を同時に行うと、1回分の足場代で済むので15万円程度の節約になるのです。
業者とのやり取りを少なくできる
屋根の葺き替えと外壁の張り替え工事を同時にすることで、業者とのやり取りを少なくできることもメリットの1つです。
屋根や外壁の工事をする際には、調査や工事内容の打ち合わせのほか、見積もりをもらうなどで業者と多くのやり取りが必要になりますが、工事をあわせて行うなら、業者とのやり取りの回数を減らすことができるでしょう。
実際の工事の際も、業者が出入りする期間を一度に集約できることもポイントです。
外観や機能が一気に新築のようによみがえる
屋根の葺き替えと外壁張り替えを同時に行うと、屋根と外壁の両方が同時に美しくなり、一気に新築のようになるでしょう。
たとえば外壁だけ張り替えると、屋根だけ古いままでバランスが悪くなるうえ、外壁が新しくなった分、余計に古ぼけて見えてしまいます。
その結果、外壁の張り替えなどの工事を続けて行いたくなる方が多いです。
さらに、木造家屋の法定耐用年数は22年とされています。
下地からやり直す屋根の葺き替えと外壁の張り替えを同時に行えば、外装を刷新でき、家を長持ちさせることにもつながるのです。
屋根の葺き替えと外壁の張り替えを同時に行えるか
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屋根の葺き替え工事と外壁の張り替え工事を同時に行うデメリット
足場代を節約できる、新築のようによみがえるなどメリットが多い同時工事ですが、以下のようなデメリットもあります。
● 工事費用が高額になる
● 工期が長くなる
内容を詳しく解説します。
工事費用が高額になる
同時工事を行うと、足場代の節約にはなりますが、屋根葺き替えと外壁張り替えの両方の費用が一度で必要になるため工事費が高額になってしまいます。
どれくらいの費用になるのか、屋根の葺き替え工事と外壁張り替え工事の相場を見てみましょう。
屋根の葺き替え工事の費用相場
既存の屋根材 | 施工内容 | 総額費用(目安) |
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瓦 | 瓦から別の屋根材(スレート、ガルバリウム鋼板など) | 112~123万円以上 |
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スレート | スレートからガルバリウム鋼板 | 90〜126万円程度 |
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セメント瓦 | セメント瓦からスレート | 97~113万円程度 |
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| セメント瓦からガルバリウム鋼板 | 145〜171万円程度 |
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※一般的な屋根面積80㎡で計算しています。
外壁の張り替え工事の費用相場
施工内容 | 費用目安 | 備考 |
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張り替え | 180〜260万円 | ただし、タイルを使うなど、外壁材によってはこの金額よりもかなり高額になることもあります。 |
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上記の表から考えると、屋根の葺き替えと外壁の張り替えを同時に行うと、200〜400万円程度が一度に必要になることがわかります。
一度に高額な出費となることが、同時施工のデメリットです。
工期が長くなる
屋根の葺き替えと外壁の張り替えを同時に行うと、工期が長くなることもデメリットです。
一般的に屋根の葺き替え工事にかかる期間は7〜10日前後、外壁の張り替え工事にかかる期間は13〜22日前後とされています。
同時に工事を行うことで、足場の設置や取り外しは一度で済むため合計した日数よりは短くなりますが、別々に工事するよりは長くなるでしょう。
工事中は業者が出入りするため落ち着かない時間が長くなるうえ、近隣にも気を遣う必要があるでしょう。
屋根と外壁の一方しか工事できないなら屋根を優先する
屋根と外壁のどちらも寿命が近いものの、費用や工期の兼ね合いで一方しか工事できないなら、基本的に屋根を優先したほうがよいでしょう。
屋根と外壁を比べると、屋根のほうが風雨の影響を強く受けるため、外壁より劣化が進んでいる可能性が高いと考えられるためです。
ただし、外壁に深刻なヒビ割れが見られる、雨漏りしているなどのケースでは、外壁を優先させましょう。
またどちらを先に工事したほうがよいかは、下地の劣化状況にもよります。
最終的にどちらを優先するかについては、プロに状況を見てもらったうえで判断を任せるのが無難です。
屋根の葺き替え工事と外壁張り替えを同時施工するかは、メリット・デメリットを比較して決めよう
屋根材と外壁材の種類によっては、寿命がほぼ同時期に訪れることもあるでしょう。
屋根の葺き替えと外壁の張り替えを同時に行うと、新築のように機能を回復しやすいといったメリットもあるのですが、高額な費用が一度に発生するといったデメリットもあります。
同時工事を検討するときには、複数の業者から見積もりをもらう「相見積もり」をして費用を確認しましょう。
業者からは別々に工事した場合と同時に実施した場合、それぞれの見積もりをもらって比較するのがおすすめです。
そのうえで、同時に工事するメリットや別々に実施するメリット、どの順番で工事を行うとよいのかといったことを、明確に説明できる業者を選ぶと安心でしょう。
最後に、今回の内容を簡単にまとめてみましたので、ご確認ください。
屋根と外壁の耐用年数は、どれも同じくらいですか? |
屋根や外壁の種類によっては、耐用年数が30~40年程度違うものもあるので、よく確認しましょう。 屋根材・外壁材ごとの耐用年数は、こちら。 |
屋根と外壁の耐用年数が近ければ、同時に工事を行うことが可能ですか? |
気候条件などで劣化の状況は変わるため、同時に工事を行うことができるとは一概にはいえません。 同時に工事ができるかどうかの判断の方法は、こちら。 |
屋根の葺き替えと外壁の張り替えの工事を同時に行うデメリットは、何ですか? |
「工事費用が高くなる」「工期が長くなる」といったことが挙げられます。 具体的な工事費用や工期については、こちら。 |