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日本家屋の屋根に使われている瓦にはさまざまな種類がありますが、どのようにタイプが分けられているのか知らない方も多いことでしょう。この記事では、日本の伝統技術でもある瓦の種類について、素材や製法、形状などに分けてそれぞれ詳しく解説していきます。「自宅の屋根の素材を瓦にしたい」「瓦の種類について詳しくなりたい」このようにお考えの方は、ぜひこちらの記事を読んで参考にしてみてください。
最初に、主に以下の4つの項目に分けて、瓦の種類を説明していきます。
・素材
・製法
・形状
・国内シェア
素材別では、瓦の種類は、主に以下の3つに分けられます。
・粘土
・セメント
・コンクリート
素材によって、瓦の耐用年数や性質などは異なるのです。
素材別の瓦の特徴や、工事価格などを詳しく紹介していきます。
粘土瓦は、原料が粘土の瓦です。
耐用年数は約50年と長いです。
天然素材の粘土を使うため、採取場所や成分、気候によって異なる風合いが楽しめます。
また、セメント瓦やコンクリート瓦と違い、基本的には塗装が必要ないためメンテナンスもしやすいです。
ただし、粘土瓦は重みがあるため住宅に負担がかかりやすいというデメリットもあります。
粘土瓦の工事価格は、1平方メートルあたり約9,000~12,000円です。
セメント瓦は、原料がセメントの瓦です。
耐用年数は30年ほどです。
水の浸透を防ぐため、基本的に表面の塗装が必要となりますが、使用する塗料によってさまざまなカラーを楽しめます。
ただし、一般的に定期的な塗装によるメンテナンスが必要となるデメリットもあります。
また、セメント瓦も重量があるため、住宅の耐震性が低くなることも覚えておきましょう。
さらに、色あせや塗膜の剥がれが起きたら、耐久性を維持するためにも塗り直さなければなりません。
セメント瓦の工事価格は、1平方メートルあたり約6,000~8,000円で、粘土瓦よりも安いです。
コンクリート瓦は、一般的にセメントと砂利を混ぜ合わせてつくられた瓦をいいます。
販売会社の名前から、モニエル瓦とも呼ばれています。
また、業者によってはコンクリート瓦もセメント瓦と呼ぶ場合もあります。
コンクリート瓦はセメント瓦に比べると防水性が高いですが、表面がデコボコするため塗装するのが一般的です。
セメント瓦のように基本的には定期的な塗り直しが必要ですが、見た目をきれいに保てます。
セメント瓦とコンクリート瓦は、見た目がとても似ています。
しかし、塗装する際はそれぞれ専用のシーラーを使うことが多いため、きちんと見分けなければなりません。
見分け方としては、セメント瓦は小口と呼ばれる瓦の断面が基本的に滑らかで、コンクリート瓦の場合はデコボコとしていることが多いです。
コンクリート瓦の耐用年数や工事価格は、セメント瓦と同じくらいです。
コンクリート瓦もセメント瓦も、性質やメンテナンスの手間などから最近ではほとんど生産されていません。
素材別の瓦の種類について、特徴がわかりやすいように一覧表にしてまとめました。
素材別の瓦の種類 | 特徴 |
---|---|
粘土 | ・原料が粘土 |
セメント | ・原料がセメント |
コンクリート | ・原料がセメントと砂利 |
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製法別では、瓦の種類は主に以下の4つに分けられます。
・陶器瓦
・いぶし瓦
・素焼き瓦
・セメント瓦
製造方法や特徴を、それぞれわかりやすく解説していきましょう。
陶器瓦は、一般的に原料の粘土を瓦の形状に整えて窯で焼き上げる製法のことをいいます。
表面が滑らかで、ツヤがあることが特徴です。
また、陶器瓦は窯で焼き上げる前に釉薬(ゆうやく)を塗ります。
釉薬を塗ることで、防水性を高めて、きれいなツヤを出せます。
いぶし瓦とは、基本的に、原料は粘土で、窯で焼き上げた後に燻す製法を指します。
最後に燻すことで、いぶし瓦の特徴である美しい銀色に仕上がります。
いぶし瓦は、一般的に釉薬は塗りません。
ただし、日本の瓦屋根のイメージでもある美しい銀色のいぶし瓦は、時間が経つにつれて色ムラが発生することが多いです。
色ムラこそいぶし瓦の良さとも言われており、経年によりさらに愛着が湧く瓦屋根となるでしょう。
素焼き瓦とは、一般的に、原料の粘土を瓦の形状に整えて、釉薬を塗らずに窯で焼き上げる製法をいいます。
素焼き瓦は、粘土本来の色がそのまま出るため、朱色の瓦が多いです。
ただし、粘土に含まれる成分によっては、朱色ではなくオレンジ色やほかのカラーに仕上がります。
素焼き瓦は、表面の色合いから洋風の建物に合う瓦ですが、沖縄県の民家や建築物にも多数使用されている屋根瓦です。
また、素焼き瓦は表面にコーティングを施されていないことが多いため、カビやコケが生えやすいというデメリットがあります。
セメント瓦とは、基本的に窯で焼き上げないタイプの瓦です。
セメントを瓦の形に整えて、圧力を加えて成形し、成形後に乾燥させて、表面を塗装したら完成という流れで製造されることが多いです。
セメント瓦は窯で焼き上げるほかの瓦より製造しやすいため、価格が安く、工事費用を抑えられます。
形状別では、瓦の種類は以下の3つのタイプに分けられます。
・S型
・F型
・J型
瓦は、形状によって雰囲気ががらりと変わってきます。
それぞれの形状について、特徴をわかりやすく解説していきましょう。
S型とは、一般的にS字のような見た目をしていて、スパニッシュ瓦とも呼ばれます。
屋根材をS型の瓦にすると、丸みのある可愛らしい外観に仕上がります。
日本家屋だけでなく、洋風の建物にもマッチするため人気が高いです。
F型は、フラットな形状なことが多く、平板瓦とも呼ばれます。
ほかの形状の瓦では出せない、シンプルでシックな雰囲気に仕上がります。
J型とは、日本の瓦の伝統的な形状で、和瓦とも呼ばれます。
基本的には軽くウェーブがかった形状で、日本家屋だけでなくお寺や神社などでも多く採用されています。
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続いて、日本三大瓦といわれている瓦について、紹介していきます。
瓦は産地別に種類があり、それぞれ特徴が異なります。
日本三大瓦といわれる瓦は以下です。
・三州瓦
・淡路瓦
・石州瓦
それぞれの瓦の特徴について、紹介していきましょう。
主な産地である愛知県西部の古い地名「三州」から名付けられた三州瓦(さんしゅうがわら)は、国内シェア70%を誇る瓦です。
良質な粘土を使用しており、寒さに強い優れた耐久性が特徴です。
産地が基本的に愛知県なので、関西方面だけでなく関東や東北などにも出荷できたため、全国的にも有名な瓦となりました。
また、豊富な形状とカラーバリエーションで、顧客のニーズに応えやすい点も国内シェアトップの理由の一つです。
淡路瓦(あわじがわら)とは、主に兵庫県の淡路島が産地の瓦です。
また、淡路瓦は1400年ほど前からつくられている、歴史の古い瓦です。
淡路島では、いぶし瓦づくりに適した粒子の細かい良質な「なめ土」という土が採取できます。
良質ななめ土でつくられたいぶし瓦は、防水性が高く、美しい表面に仕上がります。
いぶし瓦の生産量としては淡路島が国内トップです。
石州瓦(せきしゅうがわら)とは、主に島根県西部の石見地方で製造されている瓦です。
石見地方は鉱物の採掘に恵まれている土地で、瓦に使用する良質な粘土も豊富に採取されています。
石州瓦は凍害に強く、耐久性が高いという特徴があります。
JIS規格では陶器瓦の吸水率を12%以下と定めていますが、石州瓦は約5.2%とかなり低いです。
雨や雪などの水分を吸水しにくいため、ほかの瓦に比べると内部の腐食を防ぎやすいです。
この記事では、瓦の種類について、素材や製法、形状や産地別に紹介いたしました。
瓦は、日本の伝統技術として、見る者の目や心を楽しませてくれます。
また、屋根材は住宅の雰囲気を決める重要な素材の一つです。
形状や色合い、雰囲気などをチェックして、ご自宅にぴったりのタイプの瓦を選ぶようにしましょう。
最後に、今回の内容を簡単にまとめてみましたので、ご確認ください。
粘土瓦を屋根材として使用するのはどうですか? |
---|
粘土瓦は、「基本的には塗装しなくてよい」といったメリットもありますが、デメリットもいくつか存在しますので、確認してから使用するようにしましょう。デメリットは、こちら。 |
沖縄の民家などでよく使われる素焼き瓦は、洋風の建物に合いますか? |
素焼き瓦は、洋風の建物にも合うでしょう。 |
国内でシェア1位の瓦は、どんな瓦ですか? |
愛知県を主な産地とする「寒さに強い」「形状が豊富にある」といった多くのメリットを持つ瓦です。詳しくは、こちら。 |
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