屋根材の種類選びで重要な3つのポイント
屋根材の選び方には主に3つのポイントがあります。
● 価格
● デザイン
● 耐用年数
それぞれの選び方について、具体的に解説していきます。
価格
屋根材によって工事価格は2倍近く変わります。
安い費用で工事できる屋根材には「スレート」や「トタン」「ガルバリウム鋼板」があります。
トタンは耐用年数が短すぎる難点があるため、価格を重視する人は「スレート」か「ガルバリウム鋼板」を選ぶとよいでしょう。
デザイン
デザインは屋根材によって大きく異なります。
特にデザイン性が高いといわれているのは、「粘土瓦」や「アスファルトシングル」です。
特に、粘土瓦は日本家屋に格式高い印象を与えられるためおすすめです。
耐用年数
耐用年数とは、屋根材を交換する時期の目安です。
屋根材のメンテナンス頻度を下げたい場合は「粘土瓦」や「銅板」が望ましいです。
粘土瓦と銅板はいずれも50年以上の耐用年数があり、ほかの素材よりも耐久性が高いです。
銅板は寺のような特殊建築で使うことが多い素材なので、一般住宅なら粘土瓦が向いているでしょう。
以下、それぞれの屋根材の特徴や費用相場について解説します。
屋根のリフォームについて
\地元の業者に相談したい!/
8種類の屋根材を徹底比較!価格や耐用年数など
屋根には主に8種類の素材があります。
まずはそれぞれの屋根材の特徴を簡単にご紹介します。
化粧スレート |
<メリット>
● 工事価格が安い ● 瓦より耐震性が高い ● 業者を探しやすい
<デメリット>
● 割れやすい ● 塗装が必要 ● アスベストの恐れ
<価格相場>
4,500〜8,000円
<耐用年数>
20〜25年
|
天然スレート |
<メリット>
● 天然特有の美しさ
● 防水性が高い
<デメリット>
● 価格がやや高い ● 耐震性がやや低下
<価格相場>
10,000円〜
<耐用年数>
20年〜
|
ガルバリウム鋼板 |
<メリット>
● 軽量で耐震性が高い ● 金属だがサビにくい ● 防水性が高い ● カバー工法に最適 ● 複雑な形状にも対応
<デメリット>
● キズがつきやすい ● 防音性が低い ● 塗装が必要
<価格相場>
6,000〜9,000円
<耐用年数>
30年程度
|
トタン |
<メリット>
● 工事価格が安い ● 軽量で耐震性が高い
<デメリット>
● 寿命が非常に短い ● サビやすい ● 断熱性が低い ● 防音性が低い ● 塗装が必要
<価格相場>
5,000〜6,000円
<耐用年数>
10〜20年
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銅板 |
<メリット>
● 耐用年数が最も長い ● サビに非常に強い ● 塗装が不要 ● 軽量で耐震性が高い
<デメリット>
● 価格が最も高い ● 業者探しが大変
<価格相場>
20,000円〜
<耐用年数>
60年〜
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粘土瓦 |
<メリット>
● 耐用年数 ● デザイン性が高い ● 断熱性が高い ● 防音性が高い ● 結露しにくい ● 塗装が不要
<デメリット>
● 工事費が高い ● 耐震性が低下
<価格相場>
9,000〜12,000円
<耐用年数>
50年〜
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セメント瓦・コンクリート瓦 |
<メリット>
● 粘土瓦より安い ● 断熱性が高い ● 防音性が高い
<デメリット>
● 粘土瓦よりも短命 ● 耐震性が低下 ● 塗装が必要 ● 生産がほぼ終了
<価格相場>
6,000〜8,000円
<耐用年数>
30年程度
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アスファルトシングル |
<メリット>
● 軽量で耐震性が高い ● サビない ● 割れない ● デザイン性が高い ● 複雑な形状にも対応
<デメリット>
● 風で飛びやすい ● 石粒が落ちやすい ● カビが生えやすい ● 業者探しが大変
<価格相場>
5,000〜6,000円
<耐用年数>
20〜30年
|
化粧スレート
化粧スレートとは、セメントなどを材料として作る板状の屋根材です。
「人工スレート」や「コロニアル」「カラーベスト」とも呼ばれます。
日本の住宅では特に人気がある屋根材です。
メリットは3つあります。
● 工事価格が安い
● 瓦よりも軽くて耐震性が高い
● 工事できる業者が多い
デメリットは次の3つです。
● 割れやすい
● 塗装が必要
● 2004年以前の商品はアスベストを含むおそれがある
工事価格は1㎡あたり4,500〜8,000円です。
耐用年数は20〜25年程度です。
化粧スレートは、耐用年数と価格のコストパフォーマンスに優れた屋根材を使いたい方に向いています。
天然スレート
天然スレートとは、岩石を材料とした薄い板状の屋根材です。
メリットは次の2つです。
● 天然特有の美しさ
● 防水性が高い
デメリットは次の2つです。
● 化粧スレートよりも価格がやや高い
● 重いため耐震性がやや低下する
工事価格は1㎡あたり10,000円以上です。
耐用年数は20年以上です。
基本的に化粧スレートよりも耐用年数は長いです。
天然スレートは、化粧スレートよりもデザイン性が高いスレート屋根にしたい場合に適しています。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛、シリコンによってメッキ加工された鋼板素材です。
コストパフォーマンスに優れているため、金属の屋根材では最も人気があります。
メリットは、次の5つです。
● 軽量で耐震性が高い
● 金属素材としては錆びにくい
● 防水性が高い
● 安価で工事ができる「カバー工法」に最適
● 複雑な形状の屋根にも対応できる
※カバー工法とは、現在の屋根に新しい屋根材を重ねて施工する安価な工事方法です
デメリットは、次の3つです。
● キズが付きやすい
● 防音性が低い
● 塗装が必要
工事価格は1㎡あたり6,000〜9,000円です。
耐用年数は30年程度です。
ガルバリウム鋼板は、カバー工法で安く屋根工事をしたい人や、雨漏り対策を重視したい場合に適しています。
トタン
トタンとは、亜鉛でメッキ加工した薄い鉄板素材です。
デメリットが多いため、近年では使用する住宅が減っています。
メリットは、2つあります。
● 工事価格が安い
● 軽量で耐震性が高い
デメリットは、5つあります。
● 耐用年数が非常に短い
● 錆びやすい
● 断熱性が低い
● 防音性が低い
● 塗装が必要
工事価格は1㎡あたり5,000〜6,000円です。
耐用年数は10〜20年で屋根材としては最も短いです。
トタンは、10年程度で屋根材を交換してもいいから工事価格をとにかく安くしたい方に適しています。
銅板
銅板屋根とは、銅製の板を屋根に張り付けたものです。
寺などの特殊建築で主に利用します。
屋根材のなかで耐用年数が最も長いです。
メリットは、次の4つです。
● 耐用年数が最も長い
● 錆びても耐用年数が短くならない
● 塗装が不要
● 軽量で耐震性が高い
デメリットは、2つあります。
● 価格が最も高い
● 工事ができる業者が非常に少ない
工事価格は1㎡あたり20,000円以上と非常に高額です。
耐用年数は60年以上です。
銅は、大仏や自由の女神にも使われている素材で、耐用年数が100年を超えるものも珍しくありません。
銅板は、屋根の耐用年数を長くするためであれば、業者を探す手間と高額な費用を惜しまない、という方に適しているといえます。
粘土瓦
粘土瓦とは、粘土を焼いて作る瓦素材です。
「陶器瓦」や「いぶし瓦」などとも呼ばれます。
メリットは6つあります。
● 耐用年数が長い
● デザイン性が高い
● 断熱性が高い
● 防音性が高い
● 結露しにくい
● 塗装が不要
デメリットは次の2つです。
● 工事費用が高い
● 重いため耐震性が低下する
工事価格は1㎡あたり9,000〜12,000円と非常に高額です。
耐用年数は50年以上あります。
粘土瓦は、工事費用が高くても構わないから屋根の耐久性を高めたい方に向いています。
セメント・コンクリート瓦
セメント・コンクリート瓦とは、セメントやコンクリートを材料にして作る瓦素材です。
「モニエル瓦」とも呼びます。
デメリットが多いため近年では利用する住宅が減っています。
メリットは3つあります。
● 粘土瓦より安い価格で瓦のデザインを取り入れられる
● 断熱性が高い
● 防音性が高い
デメリットは次の4つです。
● 粘土瓦よりも耐用年数が短い
● 重いため耐震性が低下する
● 塗装が必要
● 現在ではほとんど生産されていない
工事価格は1㎡あたり6,000〜8,000円です。
耐用年数は30年程度です。
セメント・コンクリート瓦は、粘土瓦のメリットと価格の安さをバランスよく取り入れる場合に適しています。
アスファルトシングル
アスファルトシングルとは、ガラス繊維にアスファルトを染み込ませ、表面に石を吹き付けたシート状の屋根材です。
メリットは、次の5つです。
● 軽量で耐震性が高い
● 錆びない
● 割れない
● デザイン性が高い
● 複雑な形状の屋根にも対応できる
デメリットは、次の4つです。
● 風で吹き飛びやすい
● 表面の石が落ちやすい
● カビやコケが生えやすい
● 工事ができる業者が少ない
工事価格は1㎡あたり5,000〜6,000円ですが、施工業者が少ないため工賃が高くなるおそれがあります。
耐用年数は20〜30年程度です。
アスファルトシングルは、屋根のデザイン性を高めたい方に適しています。
予算、デザイン、耐震性、メンテナンスの頻度など、ご希望をリフォーム業者に伝えることで、適切な屋根材を提案してくれるでしょう。
屋根のリフォームについて
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おすすめの屋根材・メーカー
ここでは、次の屋根材のおすすめメーカー・商品をご紹介します。
● 化粧スレート
● 天然スレート
● ガルバリウム鋼板
● トタン
● 銅板
● 粘土瓦
● セメント・コンクリート瓦
● アスファルトシングル
化粧スレート
化粧スレートのおすすめは、ケイミュー株式会社の「コロニアル」です。
ケイミュー株式会社は、「クボタ」と「松下電工(現パナソニック)」の統合により誕生した会社です。
屋根材の代表的なメーカーの一つで、外壁材事業や雨樋事業にも力を入れています。
「コロニアル」はスレート屋根材の中でもよく普及している商品です。
軽量なため住宅への負担が少なく、耐震性があります。
扱っている業者が多いこともあり、施工しやすく失敗の少ない屋根材です。
天然スレート
天然スレートのおすすめは、丸鹿セラミックス株式会社の「天然スレートPart2」です。
丸鹿セラミックス株式会社は 愛知県に本社のある屋根材メーカーです。
三州瓦の製造販売や海外の建材の輸入販売などを行っています。
「天然スレートPart2」は、金属製水切りを取り付けて天然スレートに平板瓦の施工性を持たせている点が特徴です。
平板瓦の施工性があるため、低コストと工期の短縮を実現しています。
耐風性や防水性、耐寒性に優れており、自然災害や厳しい気象条件下の住宅にも適した屋根材です。
グリーンやイエローなどのカラーバリエーションがあり、洋風の建物にぴったりです。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板のおすすめは、アイジー工業株式会社の「アイジールーフ」です。
アイジー工業株式会社は断熱外壁材や金属屋根材の製造・販売をしているメーカーです。
1970年に山形県で創業し、現在は札幌や東京、福岡などにも拠点があります。
「アイジールーフ」はサビに強く、耐久性に優れています。
断熱性と遮熱性も高いため、室内の温度を快適に保つ助けをしてくれますよ。
1㎡あたり5.0kgと軽量で建物への負担が少なく、金属のため地震の際などに割れる心配がない点も特徴です。
トタン
住宅用の屋根材としてトタンを販売しているメーカーは少なく、本記事でご紹介できるおすすめのメーカーや商品はありません。
トタンは業者が建材を現場で加工するので、建物の状態や施工の希望に合わせてくれるでしょう。
施工実績をチェックし、トタン屋根の施工が得意な業者を選びましょう。
銅板
銅板のおすすめは、山内金属株式会社の「一文字はやぶき」です。
山内金属株式会社は、金属屋根を中心に製造や販売をしているメーカーです。
「一文字はやぶき」は、本体のジョイント部をエキスパンション・ジョイント構造にすることで、熱膨張による伸縮や反りを予防しています。
施工のしやすさも評価されており、お寺や工場、病院など、さまざまな建物に使用されています。
粘土瓦
粘土瓦のおすすめは、主に愛知県で生産される「三州瓦」と、兵庫県で生産される「淡路いぶし瓦」です。
三州瓦は良質な粘土でできており、雨風や冬の寒さに強い瓦です。
現代和風や南欧風、シンプルモダンなどの種類があり、伝統的な日本家屋から現代的な洋風の家まで、さまざまな住宅に適しています。
淡路いぶし瓦は淡路島の粘土を使用した瓦で、独自の製法によるいぶし銀のような深い光沢が特徴です。
防水性や断熱性、遮音性に優れており、豊富な形状があるためさまざまな住宅の屋根に利用されています。
セメント・コンクリート瓦
セメント・コンクリート瓦のおすすめは、大和スレート株式会社の「バンビーノ・テゴラ」です。
大和スレート株式会社は屋根材を専門に取り扱っているメーカーです。
開発から販売、施工まで一貫して自社で手がけています。
「バンビーノ・テゴラ」は軽いため耐震性が高く、紫外線や雨風といった自然の影響にも強い屋根材です。
15年のメーカー保証書をつけていることからも、品質の高さに自信があることがわかります。
7種類のカラーバリエーションがあり、高級感のある色合いが特徴です。
アスファルトシングル
アスファルトシングルのおすすめは、ニチハ株式会社の「アルマ」です。
ニチハ株式会社は、窯業系外装材の製造・販売、金属系外装材の販売などを行っているメーカーです。
「アルマ」は耐候性や耐水性、耐衝撃性に優れています。
天然石のグラデーションとやわらかい素材感が特徴的なデザインで、和風・洋風どちらの住宅にも適しています。
色は全5色です。
新築物件の場合は、割れや剥離に対して10年間のメーカー保証があります。
屋根のリフォームについて
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屋根リフォームの工法
屋根のリフォームは、主に3つの工法のいずれかで実施します。
● 塗装
● カバー工法
● 葺き替え
塗装
塗装は、3つの工法のうち最も費用を抑えやすいリフォームです。
塗装は色あせた屋根の美観を改善するだけでなく、塗膜によって屋根材を保護する効果もあります。
塗料はコストパフォーマンスのよいシリコン塗料が人気ですが、耐久性に優れたフッ素塗料や無機塗料もおすすめです。
スレートやガルバリウム鋼板の屋根の場合は、リフォームだけでなくメンテナンスのために塗装が必要なことがあります。
カバー工法
カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根材を設置するリフォーム方法です。
屋根材自体は傷んでいるものの、下地は劣化が少ない場合によく用いられます。
古い屋根材の撤去や廃棄をしない分、工事費は葺き替えよりも安価です。
ただし、屋根の総重量が増えることで耐震性に影響が出る恐れがあります。
カバー工法が適した住宅かどうかを業者にしっかり調べてもらうことが重要です。
葺き替え
葺き替え(ふきかえ)とは、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材と交換するリフォーム方法です。
屋根の下にある防水シートも交換します。
既存の屋根材よりも断熱性や耐震性に優れた屋根材を使用し、住宅の機能性を高めることもできます。
古い屋根材の処分が必要なため、リフォーム費用は比較的高めです。
屋根材選びで迷ったら複数の業者に相談してみる
屋根材にはスレートや鋼板、粘土瓦などさまざまな種類があります。
それぞれの屋根材に特徴があり、業者によっておすすめする屋根材が異なるので、複数の業者の提案を参考にしてみましょう。
複数の業者に見積もりを依頼すれば、リフォームの適正価格も把握できます。
他社と比べて高すぎる業者や安すぎる業者がないかチェックしてみましょう。
今回ご紹介した屋根材の価格も参考に、業者の見積書の内容を確認してみてください。
屋根材を選ぶポイントを教えてください。 |
「屋根材の工事価格」「屋根材の交換時期の目安」などを考慮してご自身に合うものを選ぶとよいでしょう。 詳しくは、こちら。 |
屋根材ごとに工事価格を教えてください。 |
例えば化粧スレートは4,500〜8,000円/㎡、ガルバリウム鋼板は6,000〜9,000円/㎡です。 詳しくは、こちら。 |
屋根工事に精通したよく相談し、お家にぴったりの屋根が選べるとよいですね!