「屋根のカバー工法(重ね葺き)の特徴を知りたい」「カバー工法を行う際の費用相場を知りたい」こういった考えを持っている方は多いでしょう。この記事では、屋根のカバー工法のメリットやデメリット、費用相場などを紹介します。自宅の屋根にカバー工法を採用するのが向いているかどうかがわかるでしょう。
屋根カバー工法(重ね葺き)とは
屋根カバー工法(重ね葺き)とは、
既存の屋根材は撤去せずに、上から新たな屋根材を設置するリフォーム方法のことです。
屋根材の傷みが少ない場合や、リフォームの費用を抑えたいときなどによく用いられます。
既存の屋根の上には、防水シートとガルバリウム鋼板、またはエスジーエル鋼板など、軽い金属の屋根を被せます。
「屋根カバー工法」「重ね葺き(かさねぶき)」「カバールーフ工法」などさまざまな呼び方がありますが、どれも同じ工法です。
屋根カバー工法(重ね葺き)のメリット
屋根カバー工法(重ね葺き)には、以下のメリットがあります。
● 費用が安い
● 工期が短い
● 断熱性が高い
● 防音性が高い
● アスベストが飛散しない
費用が安い
カバー工法は屋根のリフォーム費用を抑えられる施工方法です。
カバー工法では古い屋根材を撤去せずそのまま残しておくため、
撤去にかかる人件費や廃材費が基本的にかかりません。
したがって葺き替えに比べると施工費用が安く済みます。
工期が短い
カバー工法は解体作業が発生しないので一般的には養生の必要がありません。
片付けにかかる時間も短いので、葺き替えに比べると3日以上工期を短縮できる可能性があります。
なるべく早くリフォームを終わらせたい場合は、カバー工法を選択するのもよいでしょう。
断熱性が高い
カバー工法では既存の屋根と新しい屋根の
二重構造になるため、断熱性が向上します。
冬の寒さや暖房の効き目の悪さを感じているなら、カバー工法を検討してみてもよいでしょう。
防音性が高い
屋根が二重構造になることにより、断熱性だけでなく、防音性も向上します。
カバー工法により屋根をリフォームすることで、近所の騒音の軽減も期待できるでしょう。
アスベストが飛散しない
カバー工法では
古い屋根を解体しないので、既存の屋根材に
アスベストが使われていても飛散の心配が基本的にありません。
アスベストの飛散リスクがある場合は近所への配慮も必要となるため、工事にかかる手間を減らすことができます。
屋根のカバー工法について
\地元の業者に相談したい!/
屋根カバー工法(重ね葺き)のデメリット
一方で、屋根カバー工法(重ね葺き)には以下のデメリットもあります。
● カバー工法が適用できない屋根がある
● 屋根が重くなる
● 新たに取り付ける屋根材が限られる
● 火災保険は利用できない可能性が高い
カバー工法が適用できない屋根がある
カバー工法では、瓦屋根のような
重い屋根材はリフォームに基本的に使えません。
カバー工法を行う際には屋根の総重量に注意する必要があり、既存の屋根が重い場合は葺き替えによるリフォームを行う傾向があります。
屋根が重くなる
カバー工法では屋根材が増えて
二重構造となるので、屋根が重くなってしまいます。
屋根が重いと耐震性に影響が出る恐れがあるため、既存の屋根と新しい屋根のそれぞれの重さに注意が必要です。
カバー工法を検討する際は、屋根の重量に問題がないか業者に尋ねてみましょう。
新たに取り付ける屋根材が限られる
カバー工法で取り付ける屋根材は
軽量であることが条件のため、使用できる屋根材が限られます。
基本的に金属素材以外の屋根材は設置は困難です。
希望している屋根材が取り付けられない可能性に留意しましょう。
火災保険は利用できない可能性が高い
カバー工法による屋根のリフォームでは、
火災保険を利用できない可能性が高いです。
火災保険の対象は、雷や強風などの被害にあう前の状態に戻すための工事です。
カバー工法は現状を残したまま新たに屋根材を取り付ける方法なので、火災保険の適用条件から外れる可能性が高いでしょう。
屋根工事で葺き替えよりもカバー工法(重ね葺き)が向いている例
屋根のリフォーム方法には「カバー工法」と「葺き替え」があります。
葺き替えとは、現在の屋根を解体してから新しい屋根材を設置する工法です。
葺き替えよりもカバー工法が向いているケースは以下です。
● 価格を抑えたい
● 現在の屋根が金属製
● 屋根の劣化が激しくない
● 屋根の断熱性や防音性を高めたい
● リフォームの工期を短縮したい
具体的に解説していきます。
価格を抑えたい
屋根のリフォーム費用を抑えたい場合は葺き替えよりもカバー工法が向いています。
費用は20万円ほど安くなるでしょう。
現在の屋根が金属製
カバー工法を行うための既存の屋根は軽い素材で作られていなくてはいけません。
金属屋根は屋根材の中でも特に軽いため、カバー工法をするのに適しています。
屋根の劣化が激しくない
カバー工法は屋根の劣化が激しい場合だと利用できません。
なぜなら、カバー工法では現在の屋根材を補修できないからです。
屋根材や下地が劣化している場合は葺き替えのほうが適しています。
屋根の断熱性や防音性を高めたい
カバー工法は、現在の屋根よりも断熱性と防音性が高くなります。
素材によっては葺き替えのほうが断熱性や防音性が高まることもありますが、現状よりも熱と音の対策をしたいのであれば、カバー工法を選んだほうが確実性は高いでしょう。
なぜなら、カバー工法は現在の屋根を新しい屋根材で覆うため厚みが増し、断熱性と防音性が向上する傾向があるからです。
リフォームの工期を短縮したい
葺き替えに比べてカバー工法は3日以上工期が短くなる可能性があります。
屋根材を取り付ける作業の手順は同じですが、葺き替えの場合は解体作業があるため数日ほど工期が長いでしょう。
屋根のカバー工法について
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屋根カバー工法(重ね葺き)の費用相場と耐用年数
カバー工法にかかる費用の相場は30坪の住宅で170~240万円です。
屋根のサイズや業者によって価格は変動するでしょう。
屋根の耐用年数は、「カバー工法」と「葺き替え」で基本的に違いはありません。
人気の屋根材「ガルバリウム鋼板」であれば30年程度となるでしょう。
ただし、カバー工法は屋根の重さが増えることから、一般的に1回しか行わない工法です。
既にカバー工法をしている屋根をリフォームする場合は、基本的に葺き替えが必要です。
屋根カバー工法(重ね葺き)の費用に影響するポイント
屋根カバー工法(重ね葺き)では、主に以下の3つのポイントが施工費用に影響します。
● 屋根材や防水シートのグレード
● 屋根の面積
● 搬入経路
屋根材や防水シートのグレード
既存の屋根の上に付ける屋根材や防水シートのグレードを高くすると、施工費用も高くなります。
ただし、グレードが高いほど耐用年数や機能性の面で優れている傾向があるため、費用ばかり重視してグレードを下げるのはあまりおすすめしません。
業者の意見も参考にしながら、費用面と性能のバランスのよい屋根材・防水シートを選びましょう。
屋根の面積
屋根の面積が広いほど施工範囲も広くなるため、リフォームの費用も高くなります。
下屋根がある場合や家が大きく屋根の面も多い場合は費用がかさみやすいため、まずは見積もりを依頼して費用を確認してみましょう。
搬入経路
資材を運ぶための
搬入経路が確保できない場合もカバー工法の施工費用に影響します。
狭い住宅地や道が細い場合などは業者のトラックが現場まで入れないため、業者が基本的には手作業で資材を運ぶことになります。
運搬に手間がかかる分、コストが高くなることがあります。
屋根のカバー工法について
\地元の業者に相談したい!/
どんな屋根でカバー工法(重ね葺き)ができるのか?
カバー工法ができる既存の屋根には主に以下があります。
● スレート
● トタン
● ガルバリウム鋼板
● アスファルトシングル
スレートとは、薄い板状の屋根材です。
天然の岩を使った「天然スレート」のほか、セメントによる人工スレートもあります。
トタンは、安価で錆びやすい金属素材です。
耐久性が低いため、近年では利用するケースが減っています。
ガルバリウム鋼板は、人気の金属素材です。
金属でありながら錆びにくい性質があります。
アスファルトシングルは、シート状の屋根材です。
風に弱いため、日本では利用している住宅は少ないでしょう。
上記のような軽量の屋根で、カバー工法が可能です。
瓦屋根のように重い屋根材を使っている場合は重くなりすぎて建物に負担がかかるため、カバー工法は推奨されていません。
カバー工法(重ね葺き)に向いている屋根材とは?
既存の屋根に重ねる屋根材には主に以下の2種類があります。
● ガルバリウム鋼板
● アスファルトシングル
基本的に既存屋根よりも軽量である必要があるため、取り付けられるのは一般的には金属素材かアスファルトシングルとなります。
なかでも、ガルバリウム鋼板は多くの屋根に取り付けが可能なため、カバー工法で利用する代表的な屋根材となっています。
カバー工法が可能な屋根の主な種類を以下にまとめました。
参考にしてみてください。
カバー工法ができる屋根材(既存の屋根材) | カバー工法で取り付けに使える屋根材 |
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・スレート
・トタン
・ガルバリウム鋼板
・アスファルトシングル | ・ガルバリウム鋼板
・アスファルトシングル |
>> 屋根材の種類を徹底比較!どのような屋根材がご自宅に合うのか業者に相談することで最適なプランを提案してくれることでしょう。
屋根のカバー工法について
\地元の業者に相談したい!/
屋根カバー工法(重ね葺き)の注意点
自宅の屋根にカバー工法を行う場合、注意点があります。
それは、業者選びです。
屋根工事の業界には悪徳業者が多いため、依頼する企業を間違えると数年で屋根材が寿命を迎えます。
工事費用が無駄にかかってしまうため、屋根のカバー工法では業者選びに注力しましょう。
業者選びで注意したいポイントは3つあります。
● 相見積もりをする
● 訪問営業には注意する
● できるだけ自社で実際に工事をしている業者を選ぶ
以下では、それぞれの詳細を説明していきます。
相見積もりをする
相見積もりとは、複数の業者に同じ工事内容で見積もりを頼むことです。
相見積もりをすることで工事内容や価格を比較できるため、優良業者を見抜きやすくなります。
訪問営業には注意する
訪問営業を行うすべての業者が悪徳なわけではありません。
しかし、優良業者であればお客さんから依頼が来るので、個人住宅に対して訪問営業をしている業者は技術や取引方法に問題があることも考えられます。
訪問された日にその場で契約を結ぶことは避け、業者に名刺をもらいインターネットで会社の情報や口コミを調査してみることをおすすめします。
できるだけ自社で実際に工事をしている業者を選ぶ
可能な限り、自社で実際に工事をしている業者を選ぶことも重要です。
屋根の工事業者には、下請けに工事を任せるケースが非常に多いです。
特に、全国規模のリフォーム店や、ハウスメーカーなどは下請けを使っている恐れがあります。
下請けを使う業者の場合、仲介料を取られるため余計に費用がかかるのです。
自社で工事をしている会社なら、仲介料がかからないため工事費用が安くなるでしょう。
まとめ:屋根のカバー工法(重ね葺き)で工事費用を安く済ませよう!
今回の内容を簡単にまとめておきましょう。
屋根のカバー工法の耐用年数を教えてください。 |
耐用年数は、たとえば人気のガルバリウム鋼板に屋根材を使った場合は30年程度となるでしょう。 詳しくは、こちら。 |
既存の屋根材がどんな屋根であれば、カバー工法ができますか? |
「スレート」「トタン」などの屋根材の場合、カバー工法を検討できます。 詳しくは、こちら。 |
屋根のカバー工法は、費用が比較的安く、工期を短縮できるメリットがあります。
一方で、使える屋根材が限られていることは、デメリットでしょう。
価格は30坪で170~240万円程度です。
屋根のカバー工法を行う場合は工事業者の選び方も重要です。
業者を選ぶ際は相見積もりを行うなどして、業者を見極めましょう。
業者の選定をしっかりと行って、自宅の屋根のカバー工法を成功させましょう!