家の外壁塗装リフォームは、費用が何10万円以上もかかるうえに、10~15年ごとに行うことが多いため、できるだけ安く済ませたいものです。外壁/屋根塗装をお得に実施するため「助成金」「補助金」制度を活用できるか、気になる方も多いでしょう。そこで、一戸建て住宅の外装工事で対象となりやすい助成金・補助金の例や、主な条件、申請の流れ、注意点について解説します。外壁/屋根塗装の費用相場や、助成金・補助金以外で塗装工事費を抑える方法も紹介しているので、参考にしてください。
外壁塗装で助成金や補助金は受け取れる?
2023年1月時点で、国で設けられた外壁や屋根の塗装工事に関する助成金・補助金制度がないため、お住まいの自治体の制度を確認することになります。
外壁/屋根塗装で助成金を受け取れる制度には、大きく2パターンあり、多くの市区町村で省エネ住宅改修補助金・住宅リフォーム資金助成などの制度で、外壁塗装を対象としています。
省エネリフォームに該当する場合(主に遮熱塗装)
特に東京都23区の自治体を中心に制度が確立されているのが省エネリフォームやヒートアイランド現象防止など、環境配慮に関する工事の助成金・補助金です。
主に
遮熱性塗料での外壁/屋根塗装が対象となる自治体が多くあります。
個人の方の住宅はもちろん、共同住宅の管理組合が申請可能なことも多いのが特徴です。
一般的なリフォーム・塗装の場合
さまざまな改修工事の費用を助成する制度は、全国の多くの市区町村で見られます。
幅広いリフォーム工事が対象のため、条件を満たせば、外壁/屋根塗装などの外装工事も申請可能です。
自治体によっては、子育て・若年世帯が実施する改修工事に対して助成制度を設けている場合もあります。
特に地方では、地元産業促進のため「市内業者が施工すること(市内に事務所がある民間業者)」などの条件が定められているケースが多いです。
■工事内容以外の支給条件の例
・工事費◯万円以上 ・市区町村内の業者が施工すること ・建築後◯年以上経過 ・工事完了日から◯年以上居住すること など
そのほか、申請者自身に関する条件も複数あり
・住宅の所有者であること ・申請者が自治体内に居住していること ・税金を滞納していないこと など
|
基本的な条件を設定している自治体がほとんどですが、特殊な要件が設定されている場合もあるため、事前にチェックしておくとよいでしょう。
なお助成金・補助金制度はほとんどの場合、期限が決まっていますが、予算の上限に達し次第、予定日より早く締め切られるケースも多いため、外壁塗装を検討し始めたら早めに確認・申請するようにしましょう。
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外壁塗装が対象の自治体ごとの助成金・補助金制度の例(条件や金額など)
では、実際に外壁塗装や屋根塗装が対象となる、助成金・補助金制度の例を挙げてみましょう。
省エネリフォームの制度の例
地域 |
事業名 |
助成金額 |
申請期限 |
東京都品川区 |
住宅改善工事助成事業 |
最大20万円 (工事費×10%) ※個人の方の場合
|
令和4年4月1日~令和5年2月14日 ※令和4年度の受付は終了しています。(2023年1月時点)
|
東京都台東区 |
高反射塗料施工助成金制度 |
最大15万円 (工事費×20%) |
記載なし |
東京都葛飾区 |
かつしかエコ助成金 |
窓の遮熱塗装や断熱改修などをあわせて最大40万円 (工事費×25% or 1㎡あたり1,000円) |
令和4年4⽉1⽇〜令和5年3⽉31⽇ |
滋賀県大津市 |
大津市定住促進リフォーム補助金 |
最大30万円 (経費×10%、 千円未満=切り捨て) ※一定期間に転入 or 多世帯同居をされる世帯の方が対象
|
申請をする年度の4月20日~12月28日まで |
上記のうち、例えば東京都品川区の「住宅改善工事助成事業」では、既存住宅の「環境・バリアフリーに配慮したリフォーム工事」に対して工事費用の一部を助成しており、「遮熱塗装」も対象工事に含まれます。
基本的に、外壁と屋根を別々に塗装するよりも、まとめて同時に施工したほうが割安です。
屋根の塗装も視野に入れている方は、屋根工事のみ対象の補助金制度も検討してみるとよいでしょう。
一般的なリフォーム(省エネ以外)の制度の例
地域 |
事業名 |
助成金額 |
申請期限 |
東京都大田区 |
住宅リフォーム助成事業 |
最大20万円 (総工事費 or 標準工事費×10%) |
令和4年4月15日~令和5年1月31日 |
福岡県飯塚市 |
飯塚市定住促進住宅改修補助金制度 |
最大8万円 (工事費×10%) ※条件によっては+2万円加算
|
令和4年4月1日~令和5年1月31日 |
埼玉県羽生市 |
住宅改修の補助 |
最大10万円 (工事費×5%、千円未満=切り捨て) |
令和4年4月1日~ |
大阪府摂津市 |
住宅リフォーム補助金 |
最大25万円 (経費×50%まで) ※新たに多世代同居・近居する場合が対象
|
令和4年4月1日~令和5年3月15日 ※令和4年度の受付は終了しています。(2023年1月時点)
|
広島県府中町 |
子育て世帯が行う住宅リフォーム工事費用の一部補助 |
最大30万円 (工事費×23%) |
令和4年5月2日~10月28日 ※すでに申請期間が終了しています。
|
上記のうち福岡県飯塚市では、中古住宅のリフォームについて補助金を支給しており、諸条件を満たせば外壁塗装も対象となります。
(具体的な要件としては「市内の業者が工事を請け負うこと」「工事費8万円以上」など。)
ほかにも細かく条件が決められており、無事に審査をクリアできると補助金を受給可能です。
上述した通り、自治体が設けている住宅改修の助成金・補助金制度は地域内の施工業者と工事契約するといった条件があることも多いため、できれば地元の信頼できる業者を探すことから始めるとよいでしょう。
外壁/屋根塗装が対象の助成金・補助金制度の探し方
外壁/屋根塗装の助成金や補助金を探すときには、各地方自治体の窓口(役場など)に直接問い合わせる、インターネットで検索するといった方法があります。
市区町村と制度内容の条件を設定して検索するだけで、ご自身に当てはまる可能性がある助成金・補助金の制度が一覧で確認できます。
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一般的な外壁塗装(シリコン・遮熱)の費用・価格差は?
ところで「そもそも外壁塗装や遮熱塗料って、いくらくらい掛かるの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで外壁塗装の総額費用や「シリコン塗料」と「遮熱塗料」で塗装した場合の値段の違いについても、確認していきます。
外壁塗装の費用相場(総額)
外壁のみ塗装する場合の費用相場
30坪の建物で外壁塗装を実施する場合、費用相場は60〜100万円程度です。
外壁と屋根を一緒に塗装する場合の費用相場
30坪の建物で、外壁と屋根を同時に塗装する場合には、80〜125万円くらいの予算を見込んでおくとよいでしょう。
塗料の違い(シリコン・遮熱)による施工価格の差は?
外壁塗装で最も主流のシリコン塗料、省エネリフォームの助成金・補助金対象となりやすい遮熱塗料、それぞれの施工料金は下記を参考にしてください。
塗料の種類 |
施工単価 |
シリコン塗料 |
1,800~3,500円/㎡ |
遮熱/断熱塗料 |
2,300〜4,000円/㎡ |
※上記価格のほか、養生費・足場代・諸経費などが別途かかります。
どのような塗料なら手頃な料金で塗装できるか、補助金の審査に通りやすいかなど、塗装業者と相談しながら選定するとよいでしょう。
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外壁/屋根塗装で助成金・補助金を使いたい時の注意点
塗装工事で助成金や補助金を使いたい場合は、以下の点に注意しましょう。
● 応募者が多いと早く締め切られることがある
● 事前申請が必要な場合が多い
● 遮熱塗装が向かないケースもある
それぞれの注意点について、解説していきます。
応募者が多いと早く締め切られることがある
基本的にどの自治体も、支給できる助成金・補助金の額が限られています。
希望者が多いとすぐに予算に達してしまい、予想外に早く締め切られてしまうケースもあるため、早い段階で塗装業者を探し、見積もりを作成してもらうと安心です。
事前申請が必要な場合が多い
申請から交付までの大まかな流れは、後ほど改めて解説しますが、原則として塗装工事を開始する前に申請しなくてはいけません。
すでに工事を開始、あるいは完了している場合、申請できないケースがほとんどです。
計画的に、補助金申請手続き・工事実施日の予定を考えましょう。
遮熱塗装が向かないケースもある
遮熱塗料は、屋根や外壁に塗ると太陽光を反射する機能があります。
室内温度を低くすることで、エアコンの使い過ぎを防ぎ、光熱費の節約に繋がるでしょう。
また建物の温度は周辺の温度にも影響するため、ヒートアイランド現象の抑制効果も期待できます。
しかし「補助金を使いたいから、遮熱塗装にしよう」と安易に決めることは避けるべきでしょう。
遮熱塗料は、冬場も太陽の光を遮ってしまうため、室内が寒くなりやすい建物には不向きです。
ただ、人気製品の『ガイナ』のように断熱機能と遮熱機能を兼ね備えた塗料もあります。
断熱性のある塗料であれば、夏の暑さから建物を守りつつ、冬の室内温度も保ってくれるでしょう。
断熱塗料も助成金・補助金の対象になることがあります。
コストパフォーマンス性や機能性など、重視したいポイントも考慮しながら、ご自宅に最適な塗料をプロの塗装業者に提案してもらうとよいでしょう。
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外壁塗装の助成金や補助金を受け取る流れ・期間(申請~助成)
外壁/屋根塗装の助成金・補助金を受け取るための、一般的な手続きの流れは以下の通りです。
各期間や手順は、自治体や混雑状況によっても異なりますが、おおよその目安についても触れておきましょう。
自治体に申請書提出
申請書類を用意し、提出します。
自治体によって必要書類は異なるため、漏れのないよう注意しましょう。(主な申請書類については後述します。)
申請から交付決定までの期間は、窓口での受け取り日から「2日〜1週間程度」と早い場合もあれば「3〜4週間ほど」かかることもあります。
工事開始
基本的には、申請・交付通知が済んでから塗装業者と正式に契約し、工事を始めます。
報告書提出
工事が終わったら、施工前・施工後の写真などを添えた「工事完了報告書(実績報告書)」を自治体に提出します。
完工した日から1〜2ヶ月以内を期限としている例が多いです。
交付確定通知・請求書の提出・助成金の受領
書類審査が無事に通過すると「交付確定通知書」が届きます。
さらに「補助金交付請求書」を提出すると、2週間〜1ヶ月程度で助成金・補助金が振り込まれることが多いです。
手続きには、それなりの手間や時間がかかります。
塗装業者探しや工事の打ち合わせも、なるべく余裕を持って行っておくと安心でしょう。
申請に必要な書類は?
申請時には、以下のような書類が必要となります。
● 工事に関する見積書
● 建物の登記事項証明書(建物の所有者を証明するもの)
● 施工前の建物写真
● 税金に未納がないことの証明の書類
また助成金・補助金の制度や状況によっては、以下のような書類も必要になってきます。
● 塗料の性能に関する証明書類(カタログなど)
● 委任状(施工業者が代理で申請する場合)
● 貸主の承諾書(賃貸物件をリフォームする場合)
繰り返しになりますが、必要書類は申請する各自治体によって異なるので、注意しましょう。
申請書類に不備があれば、手続きが遅れたり、場合によっては助成金が受け取れなかったりする可能性があります。
申請前に自治体のホームページなどで再確認するようにしてください。
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助成金・補助金を使えなくても、塗装費用を安く抑えられる?
もしお住まいの地域に「申請可能な助成金・補助金制度がない/受付を終了してしまった」という場合でも、以下の方法で塗装工事の費用を安く抑えられる可能性があります。
火災保険を適用できる可能性がある
落雷・風災・雪災などが保険の対象となっている場合に、外壁や屋根の劣化が自然災害による損害だと認められると、火災保険を使って外壁塗装できるかもしれません。
例えば、雪や雹などによって塗膜に傷ができた場合などには、火災保険が適用されるケースがあります。
また漏水や、いたずら・不注意によって破損した箇所の補修の場合には、火災保険ではなく住宅総合保険で補える可能性も出てくるでしょう。
原則、経年劣化による再塗装は対象外ですが、場合によっては耐久年数を超えていても「災害がきっかけ」と認められることもあります。
まずは保険証券の内容を確認してみてください。
また、火災保険を活用した塗装経験がある業者であれば、保険の適用範囲かどうかも助言してくれるでしょう。
複数の塗装業者の見積書を比較する
同じ広さ・塗料でも、業者によって数10万円単位で料金が変わることもあります。
複数業者に見積もりを依頼し、内容を比較することで、結果的に費用が安くなるケースも多いです。
なお見積書はトータルの金額だけでなく、費用の内訳までしっかり確認することが肝心です。
安すぎる業者の中には「3度塗りが基本のところを2度塗りで終わらせる」「高圧洗浄を怠る」といった手抜き工事を行うところもあります。
この場合、塗膜が本来の性能を発揮できず、長持ちしません。
良質な業者かどうか見抜くためにも、相見積もりで複数の業者の対応の仕方なども比較することをおすすめします。
業者の中には、補助金の手続きをサポートしてくれたり、予算に合わせるために工夫を凝らした提案をしてくれたりする優良業者もいます。
じっくり時間をかけて、最も納得のいくプランを提供してくれる業者を選ぶことが、大切です。
外壁塗装の助成金・補助金の情報まとめ
ここまで、外壁塗装で使える助成金・補助金についてまとめてきました。
助成金・補助金は申請する前に条件や内容などを自治体によく確認しておきましょう。
費用を少しでも抑えられるよう、助成金や補助金を使ったリフォームをぜひ検討してみてください。
外壁塗装のために助成金や補助金を受け取ることは可能ですか? |
自治体によりますが、多くの市区町村が外壁塗装に対して助成金や補助金の支給を行っています。 ただし、自治体によっても条件や助成金額が異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。 詳しくは、こちら。 |
助成金・補助金を受け取れるかどうかはどこで確認できますか? |
インターネット上で確認できることが多いです。 ただし、条件などが少々難しい場合もあるので、外壁塗装に精通した地元の塗装業者に問い合わせてみるのもよいでしょう。 詳しくは、こちら。 |