遮熱塗料は、太陽光を反射して、屋根温度の上昇を防ぐ効果があり、室内の温度を快適に保ってくれる塗料として、基本的に屋根に使われることが多く人気があります。「遮熱塗料の効果を知りたい」「遮熱塗料の種類やおすすめの塗料が知りたい」このように、遮熱塗装を検討していても、塗料についてよくわかっていない方も多いのではないでしょうか。今回は遮熱塗料について、効果や価格・断熱塗料との違いなどを詳しく解説します。塗装を検討している方は、ぜひ読んでみてください。
遮熱塗料とは?効果・価格・耐用年数
はじめに、遮熱塗料の基礎知識を解説します。
遮熱塗料とは、熱の原因となる太陽光を反射させて屋根温度の上昇を防ぎ、結果として、室内の温度上昇を抑える塗料です。
屋根や外壁への塗装で、夏の室内の温度を快適に保つなどの効果が期待できます。
遮熱塗料を屋根に塗装した場合、最大で15〜20度の屋根表面温度を低下させる効果があるため、結果として省エネや電気代の削減にもつながるでしょう。
遮熱塗料と断熱塗料の違い
遮熱塗料は、魅力的な塗料であることがわかりましたが、ほかの塗料と比較するとどうなのでしょうか。
遮熱塗料と同じように、室内の温度上昇を抑える塗料に、断熱塗料があります。
遮熱塗料と断熱塗料の大きな違いは、保温効果を持っているかどうかです。
遮熱塗料は、塗料が光を反射し、建物内部に入ってくる熱を少なくすることで、室内の温度上昇を抑える仕組みになっています。
そのため、外部からの熱を伝わりにくくする機能を持っていますが、保温効果は期待できません。
一方の断熱塗料は、光を反射しないため熱の発生は抑えられませんが、熱や冷気の侵入を防いでくれるので、室内の温度上昇を抑えます。
室内外の熱の移動を遮断してくれるので、夏は涼しく保ち、冬は外に熱を逃さないため、暖かい状態をある程度保つことが可能です。
ほかにも断熱塗料は、遮熱塗料に比べ塗料自体の価格が高くなっています。
遮熱塗料と断熱塗料の特徴・耐用年数・価格を、それぞれ以下の表にまとめました。
|
遮熱塗料 |
断熱塗料 |
特徴 |
・光を反射して熱の発生を遮断し、室内の温度上昇を抑える ・冬場は室内の保温ができないため寒い |
・外からの熱や冷気を防ぎ、室内の温度上昇を抑える ・冬場は保温できるため室内が暖かい |
耐用年数 |
10〜20年 |
15〜20年 |
塗料代金 (1缶当たり) |
5,000〜20,000円 |
15,000〜100,000円 |
遮熱塗料の価格・耐用年数は?
遮熱塗料の価格は、1缶あたりおよそ5,000〜20,000円です。
施工費用は、屋根が約2,300〜3,500円/㎡、外壁が約2,300〜2,800円/㎡となっています。
耐用年数は10〜20年程度です。
価格は少し高めで、耐用年数もやや長めといえるでしょう。
遮熱塗料の塗装について
\地元の業者に相談したい!/
遮熱塗料のメリット・デメリット
室内の温度を快適にしてくれる遮熱塗料ですが、ほかにもメリットやデメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|
・夏場の室内温度が快適に保たれる ・電気代が削減できる ・耐用年数が長い ・熱による劣化を防ぐ | ・費用が高い ・冬場の保温効果がない ・表面が汚れると遮熱効果が落ちる |
遮熱塗料のメリット
遮熱塗料には、室内の温度上昇を抑える効果のほかにもさまざまなメリットがあります。
夏場の室内温度が快適に保たれる
遮熱塗料には、夏の暑くなる原因である太陽光を反射し、室内の温度を快適に保つ効果があります。
太陽光を反射してくれるので、猛暑のような夏でも室内への影響が少ないです。
遮熱塗装をすることで、室温は最大で2〜3度下がるでしょう。
2〜3度程度の温度差でも体感温度は涼しく感じられます。
暑い夏でも快適に過ごせるでしょう。
電気代が削減できる
遮熱塗料の効果により室内温度が低くなるため冷房の頻度が減り、電気代を削減できる可能性が高いです。
室内温度が1度下がると、約10%の電気代が削減できるでしょう。
遮熱塗料が室温の上昇を抑え、冷房を使い過ぎないため、省エネ効果にもつながります。
耐用年数が長い
遮熱塗料の耐用年数は、ほとんどが10〜20年です。
一般の塗料と比べ1.5〜2倍長く、塗装後の手間を考えてもメンテナンスのしやすい塗料となります。
熱による劣化を防げる
遮熱塗料は、外壁や屋根の劣化を防ぐ効果もあります。
外壁や屋根などの建材は、太陽光などの熱を直接受けることで劣化が進みやすくなり、耐用年数が短くなることが多いです。
遮熱塗料は光を反射し、表面温度の上昇を抑えてくれるので、熱による建材自体のダメージを減らすことができるでしょう。
遮熱塗料のデメリット
遮熱塗料は、省エネ効果が期待できる人気の塗料ですが、一方でデメリットもあります。
以下で遮熱塗料のデメリットを紹介していくので、確認してみてください。
費用が高い
遮熱塗料は、特殊効果を持たない一般塗料に比べて、価格が高いことが多いです。
安価なシリコン塗料だと、1㎡あたり2,000円ほどですが、遮熱塗料は4,000〜5,000円かかってしまいます。
しかし、安価な塗料と比べて耐久性に優れており、耐用年数は2〜3倍になるので、メンテナンスの手間を考えると遮熱塗料の方が経済的です。
冬場の保温効果がない
遮熱塗料には、冬場の寒さを補う保温効果が基本的にありません。
遮熱塗料は、外の熱を室内に伝えにくくしてくれますが、中の熱を外に逃がすことはできないからです。
そのため、暑い夏には最適な塗料ですが、特に冬が長い北海道や東北地方にはあまり適していないといえます。
表面が汚れると遮熱効果が落ちる
遮熱塗料は、塗膜表面が綺麗であれば効果を発揮しやすいです。
しかし、表面が汚れていると、反射しにくくなり遮熱性能が低くなってしまいます。
ただし、定期的に塗膜(塗装の膜)の洗浄を行えば、遮熱効果を維持できるでしょう。
遮熱塗料の塗装について
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おすすめの遮熱塗料のメーカー・商品
遮熱塗料は、開発した企業によってさまざまな特徴を持っています。
おすすめする遮熱塗料の特徴や相場価格などをご紹介します。
屋根の遮熱塗料
始めに、屋根塗装におすすめの遮熱塗料をご紹介します。
関西ペイント「アレスクール1液F」
アレスクール1液Fは、耐候性に優れており、温度上昇の原因である光を効率よく反射する屋根用の遮熱塗料です。
アレスクールは、光を反射させる特殊顔料を上塗りと下塗りの両方に配合しているため、屋根の温度上昇を効率よく抑えてくれます。
また、15〜20年と耐用年数が長いので、遮熱効果を長く保ちたいという方におすすめです。
施工相場(/㎡) |
4,000円〜 |
日射反射率(白) |
80%以上 |
耐用年数 |
15〜20年 |
日本ペイント「サーモアイ4F」
サーモアイ4Fは、耐候性や光沢保持性に優れた屋根用の遮熱塗料になります。
耐候性とは、天候の影響による劣化に対する耐えやすさを示す指標です。
日本ペイントの4フッ化フッ素技術により、長期間に渡って遮熱機能を保持してくれます。
つやがある仕上がりになるので、屋根の見た目を美しく保ち、遮熱効果を長持ちさせたいという方におすすめです。
施工相場(/㎡) |
3,720円〜 |
日射反射率(白) |
91% |
耐用年数 |
12〜15年 |
エスケー化研「クールタイト」
クールタイトは、遮熱性や防汚性が高く、40色以上のカラーを揃えている塗料です。
防カビや防藻の効果もあるため、遮熱効果もより長く維持することができるでしょう。
好きな色で塗装したい方や、汚れにくい外壁にしたい方におすすめです。
施工相場(/㎡) |
5,400~6,300円程度 |
日射反射率(白) |
80%以上 |
耐用年数 |
5~10年(クールタイトシリーズ) |
外壁塗装も可能な遮熱塗料
日進産業「ガイナ」
ガイナは、ロケットの技術から開発された断熱性、耐久性に優れた塗料です。
遮熱機能だけでなく、断熱機能も持っているので、夏は涼しく冬は暖かく室内の温度を快適に保ってくれます。
ほかにも、結露防止や防音、防汚などの機能を持っているので、室内環境を整えたい場合や一年中室内を快適にしたいという方へおすすめです。
施工相場(/㎡) |
3,800円〜 |
日射反射率(白) |
約90% |
耐用年数 |
15〜20年 |
アステックペイント「スーパーシャネツサーモF」
スーパーシャネツサーモFは、従来のフッ素樹脂塗料を超える最高ランクの耐候性と優れた遮熱性を持ち合わせた超高機能の遮熱塗料になります。
遮熱効果を保持しつつ、耐候性の高い塗料を選びたい方へおすすめです。
施工相場(/㎡) |
4,100円〜 |
日射反射率(白) |
80%以上 |
耐用年数 |
15〜20年 |
日本中央研究所「アドグリーンコートGL」
アドグリーンコートGLは、環境や省エネに配慮し、耐久性や防汚力に優れた遮熱塗料となっています。
また、塗装後にツヤ感がアップするため、見た目を美しくしたい方へおすすめです。
しかし、耐用年数が8〜12年と短めなので、長期間の効果を期待している方にはおすすめできません。
施工相場(/㎡) |
3,500円〜 |
日射反射率(白) |
86.8% |
耐用年数 |
8〜12年 |
おすすめの遮熱塗料6つを以下にまとめました。
参考にしてみてください。
商品名 | 特徴 | 施工価格 (/㎡) | 耐用年数 |
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アレスクール1液F | ・屋根用 ・下塗りも遮熱対応 | 4,000円〜 | 15〜20年 |
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サーモアイ4F | ・屋根用 ・耐候性 ・光沢保持性 | 3,720円〜 | 12〜15年 |
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クールタイト | ・屋根用 ・防汚性 ・カラーが豊富 | 5,400~6,300円程度 | 5~10年(クールタイトシリーズ) |
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ガイナ | ・断熱性能 ・結露防止 ・防音 | 3,800円〜 | 15〜20年 |
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スーパーシャネツサーモF | ・耐候性 | 4,100円〜 | 15〜20年 |
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アドグリーンコートGL | ・耐久性 ・防汚性 | 3,500円〜 | 15〜20年 |
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遮熱塗料の塗装について
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遮熱塗料の選び方
たくさんの種類の遮熱塗料がある中で、どのように塗料を選べばよいのでしょうか。
以下では、遮熱塗料の選び方を紹介します。
JIS規格を参考にする
2018年に日本塗料工業会により、遮熱塗料の標準を決めたJIS規格が定められました。
そのため、反射率や断熱、放射などの遮熱塗料を熱性能の計測で、横並びで比較できるようになり、星1〜3つでランク付けを行っています。
日塗工ホームページでも登録商品と遮熱性能が簡単に確認可能です。
しかし、JIS規格は2018年に制定されたばかりのため、登録件数もそこまで多くありません。
あくまでも参考材料としつつ、評価の高い遮熱塗料を選びましょう。
効果の高い遮熱塗料を選ぶ
遮熱塗料を選ぶときは、「日射反射率」「汚れにくさ」に注目しましょう。
日射反射率とは、太陽光をどれだけ反射できるかを数値化したものです。
遮熱塗料は光を反射させ、建物の表面温度を下げてくれるので、日射反射率が高いほど遮熱効果が期待できます。
また、遮熱塗料は汚れによって効果が落ちるため、汚れにくくメンテナンスまでの期間が長い塗料の利用がおすすめです。
効果の高い遮熱塗料を見抜ければ、長期間に渡って遮熱効果を保ち続けてくれます。
まとめ:自宅にぴったりな遮熱塗料を選ぼう!
今回は、遮熱塗料のメリットや選び方、種類をご紹介しました。
遮熱塗料はたくさんの種類があり、それぞれ特有の機能を持っているので、簡単に選ぶのは難しいかもしれません。
遮熱塗装をするときは、効果をより実感するためにも、信頼できる業者と相談しながら慎重に検討しましょう。
最後に、今回の内容を簡単にまとめてみましたので、ご確認ください。
遮熱塗料のメリットは何ですか? |
「夏場に室内温度を快適に保ちやすい」「電気代の削減につながる」といったことが挙げられます。 詳しくは、こちら。 |
遮熱塗料は、どのように選ぶのがよいですか? |
「日射反射率や汚れにくさを重視して効果の高い塗料を選ぶ」といった方法があります。 詳しくは、こちら。 |